大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(あ)1797 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人川添清吉の上告趣意について。

記録によれば原裁判所は昭和二五年二月一六日弁護士工藤慎吉を弁護人に選任し、

同弁護人は同年三月一〇日附控訴趣意書を提出したこと、然るにその後被告人は弁

護士宮本九平を弁護人に選任したため原裁判所は工藤弁護人を解任したこと、宮本

弁護人は別に控訴趣意書を提出し昭和二五年六月二日の原審公判において自己の控

訴趣意書のみに基いて弁論し原審裁判所はその控訴趣意書についてのみ判断し工藤

弁護人の控訴趣意書については全然判断をしなかつたことは明かである。しかし原

審公判調書によれば被告人は公判期日に出頭しており、宮本弁護人は工藤弁護人提

出の控訴趣意書については弁論しない旨陳述しているに拘らず被告人は何等異議を

述べていないことが判るのである。然らば宮本弁護人は工藤弁護人提出の控訴趣意

書を撤回したものであり、しかもそれは被告人の意思に反しないものと認められる

のであるからその撤回は有効であると解すべきである。従つて原裁判所が右控訴趣

意書について判断しなかつたのは当然であつて違法ではない。要するに所論は明ら

かに刑訴四〇五条に定める事由に該当しないし、また同四一一条を適用すべきもの

とも認められない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項により主文のとおり決定

する。

右は全裁判官一致の意見である。

昭和二五年一二月二五日

最高裁判所第二小法廷

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裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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